図表類の掲載は省略しています。

ウエザーデリバティブと気象データ

 

1.はじめに

1997年頃に欧米で急速に発達し始めたウエザーデリバティブは、日本でも次第に裾野を広げている。ウエザーデリバティブは、文字通りウエザーそのものが取引の対象だから、プライシングから販売、約定、ポジション、清算などの各段階にわたって、ウエザーについての過去・現況・予測データが不可欠である。

ウエザー(weather)は、天気、天候、気象などを意味するが、ウエザーデリバティブの分野では「天候」と訳されているようだ。一方、「気象」は、例えば気象庁の業務全体を規定している気象業務法の中で「大気中(電離層を除く)の諸現象をいう」と定義されており、天気や天候を含む最も広い概念と言える。天候は一般に気象のある期間の平均状態を意味することから、HDD(暖房度日)のようなある平均気温の冬季の累積値が問題となるウエザーデリバティブが、「天候デリバティブ」とよばれるのは自然な流れであろう。

いずれにしても、天候の元データは気象だから、ウエザーデリバティブの一つの基礎が気象にあることは間違いない。今後、より一般的な「気象デリバティブ」に発展する可能性もある。日本では気象業務の主務官庁は気象庁であるが、近年、予報自由化の流れと相まって、民間でも天気予報のほかデリバティブを支援する多様なサービスの提供を始めている。以下に、このデリバティブを念頭において、気象の観測・品質管理・データ提供等を中心に基本的事項を概説し、予報についても言及する。

 

2.気象観測

気象は、日々異なった顔を持って現れる。風や雨、低温や高温、高気圧や低気圧、前線、台風などもすべて気象に含まれる。こうした現象の振る舞いは複雑であるが、気象学に従えば、それらの態様は「気象要素」および「気象現象」を定義することにより、一義的に記述することが出来る。すなわち、気象要素および気象現象は「気圧」、「気温」、「風向風速」、「湿度」などの他、「降水量」や「日照時間」、「雲量」、「雷」、「竜巻」などなど多種多様にわたっているが、これらをきちんと観測すれば気象、したがって天候も特定出来ることになる。気象庁では、法律に基いて観測を行い、天気予報に利用するとともに、記録し、一般の利用に供している。

なお、気象業務法では、「観測」とは自然科学的方法による現象の観察および測定をいうと定義されている。観察の例は目視による雲の種類や高さ、雷、見通し距離である視程の観測などが該当する。測定の例は温度計や風向風速計など機械によるものである。大気は地表から100km辺りまで広がっているから、対象空間や観測手段などによって観測の種類や種目が分けられている。

蛇足になるが、気象庁以外の者が予報を行なう場合は気象庁長官の許可が必要で、違反した場合は50万円以下の罰金となっている。一方、同法で「予報」とは、観測の成果に基づく現象の予測の発表と定義されているので、八卦などはそもそも「予報」の要件を満たしていないことになり、許可以前の問題である。

 

3.気象観測の種目と観測上の技術基準

気象庁の行う気象観測の種類および方法は、気象業務法第4条(気象庁の行う観測の方法)を受けて、同法施行規則(運輸令第101号)で規定されている。また、気象庁以外の者による観測は都道府県や自治体によるものなどがあるが、それらは同法第6条およびそれを受けた同施行規則で規定されている。なお、気象庁以外の者による観測は目的や継続性などからウエザーデリバティブの対象には馴染にくいが、参考データとはなり得る。

さて、実際に気象官署において定常的に行われている観測の細目は、気象官署観測業務規程(気象庁訓令)に定められており、その種類は、地上気象観測、高層気象観測、オゾン観測、海洋観測、火山観測、レーダー気象観測、生物季節観測など合計12である。また、観測に使用する気象測器は、気象測器検定規則(運輸省令)等の検定あるいは部内検査規則(気象庁達)による検査に合格したものでなければならないと規定されている。ここで気象官署というのは古めかしい言葉であるが、人がいて観測や予報・解説などを行なっている気象台や測候所などのことである。

以下に、ウエザーデリバティブの主対象である地上気象観測について述べる。他の種類に興味ある人は、上記の規程類を参照されたい。

 

4.地上気象観測
地上気象観測とは、前記の業務規程で次の気象要素および気象現象並びに日射についての観測であると定義されている。

気圧、気温、湿度、風、降水、積雪、蒸発、雲、視程、天気、日照、その他の気象現象

次に、地上気象観測は、気候観測と通報観測に分けられており、両者で観測種目や観測時刻が異なっている。しかしながら、重複する種目については観測測器や方法は同一であるから問題ない。気候観測は気候調査を主目的とする観測であり、通報観測は天気予報を主目的とするもので電報をもって(国内、国際規模で)通報される観測である。

地上気象観測を行なう場所を第1図に示すように「露場」とよび、気温、湿度、雨量などを観測する地上気象観測装置が設置されている。風は地上10mが基準で測風搭に設置されるが、都市部の官署では20mを超える場所もあり、あくまでも測器の設置場所の値である。

 

・・・第1図・・・

 

気候観測データは一般社会で種々の分野に応用されている。ウエザーデリバティブのプライシングなどに既に使われている気温などの過去データは、殆どすべてこの気候観測から整理されたものである。気候観測データは、法律に基く権威性、一元性、データの安定性、品質管理などの観点から、ウエーザーデリバティブに最も適した観測データであるということが出来る。なお、アメダスは、ウエザーデリバティブのデータになり得るが、気象ロボット(移動はしないが)による自動観測であるため、別の規程になっており後述する。

4.1 気候観測

気候観測の観測種目・時刻・方法・単位・最少位数を、第1表、第2表、第3表に示す(いずれも前記の観測業務規程より抜粋)。

ここでは気温、降水などについて具体的に見てみよう。

先ず気温は、毎時に、電気式温度計又は携帯用通風乾湿計を用いて、摂氏(℃)で0.1度の位数で観測される。また、最高・最低気温については、それぞれの起こった時刻(起時)と値が電気式温度計で、摂氏(℃)で0.1度の位数で観測される。なお、携帯用通風乾湿計は観測機器が故障等の場合の観測である。注意すべきは、ウエザーデリバティブで用いられる平均気温や真夏日、熱帯夜などは観測種目ではなく、後述するように気温の観測データから2次的に導かれるものである。

 

・・・第1表・・・

・・・第2表・・・

・・・第3表・・・

 

次に降水について見る。降水量は気温や気圧などと違って、ある時間内の降水の積算値であり、1時間降水量、日最大1時間降水量などがある。いずれもミリメートル単位で0.5ミリメートルが最少位数である。この位数は雨量計の構造に起因している。降水量は、第2図に示すような直径20cmの断面積を持つ円筒内の底部に「しし脅し」と全く同じ原理の転倒マスを持つ測器(転倒マス型雨量計)で測定される。マスの容量がちょうど0.5ミリ分の降水量と等しくなっており、それに達するとマスが転倒し0.5ミリとカウントされる。したがって、実際には0.1ミリや0.4ミリの降水があっても、未だマスが転倒しないので降水は無いことになる。

 

・・・第2図・・・

 

これは雨量計による観測であるが、気象官署では観測当番者が常に空を監視しているので、たとえパラパラでも雨や雪が降ると、降水ありと観測、記録される。このような状況は、4.3節の気候観測の原簿上で記録(記事欄)され、降水量は0.0と表記され、全く降水が観測されない場合は―の記号で表記される。なお、アメダスの場合は、無人だから0.5ミリを超えて初めて降水ありと観測され、記録されることに注意する必要がある。

日最高気温や日最大風速など最大・最小値や起こる時刻(起時)は、自記記録とよばれる連続観測から求める。単に風速という場合は10分間平均であり、瞬間風速の場合は0.25秒間隔のサンプリングで3秒平均(計12個)したものである。

結局、ウエザーデリバティブで関心のある気温や風、降水、降雪などの観測は、殆ど気候観測の種目でカバーされており、全国約140ケ所の気象官署で行なわれている。

[気候観測における日界]:日降水量や日最高気温などの「日」の区切りを「日界」とよび、すべて日本標準時の0時から24時制を採用している。なお、例外として、降雪の深さの日合計は9時または21時、日最深積雪は9時、21時または24時である。これは第1表に示す積雪および降雪の観測時刻に起因する。

4.2 気候観測データの収集・統計・提供など

 気候観測は、通報観測が電報で速報されるのに対して、非即時的データである。観測官署でチェックを行い「地上気象観測原簿」として保管され、同時にその結果を「地上気象観測報告」として翌日中に気象庁本庁に報告することになっている。報告は気象庁部内の専用回線を通じて行なわれる。第4表はその一例である。この原簿は気象庁でチェックされ、数日後には速報値として(財)気象業務支援センターを通じて公開・提供されている。筆者の所属する(財)日本気象協会などを通じてもほぼ同時に入手可能である。なお、気候観測データは最終的なチェックを経て、翌々月に確定され、上記チャネルで入手可能である。殆どないが速報値には訂正や修正の可能性がある点に注意すべきである。

 

・・・第4表・・・

4.2       第2図:転倒マス型雨量計の構造通報観測

小笠原高気圧やシベリア高気圧などは地上で見られる大気の一断面であるが、上空に上ると偏西風が南北にうねりながら地球を巡っている。その最強風帯であるジェット気流は、冬季には秒速80mにも達する。大気中には低気圧や高気圧、前線、台風など種々の現象に溢れており、日本列島はこれらの接近や通過により雨や風など種々の気象現象の影響を受ける。こうした国境を越えて地球を巡る気象現象(擾乱)の実況を常時監視し、さらに予報を行うためには国際的な共同が不可欠であり、国連の専門機関のひとつである世界気象機関(WMO)は、気象観測・通報に関して統一的な「WMO技術規則」を定めている。以下に述べる気象庁の「通報観測」もこの国際的な規則に準拠している。

こうした公的データは、ウエザーリスク管理に携わる関係者にとっても国内および国際規模で気象実況等をリアルタイムで把握する際の有効な資源である。

(通報観測種目、回数、観測時刻、方法、単位等)

前述の観測業務規程で、通報観測とは電報をもって通報するための行う観測で、定時通報観測、臨時通報観測、自動通報観測の三つと定められている。臨時観測は台風などを対象としたものであり、ここでは定時通報に絞る。定時通報観測の種別および観測時刻は次のように定められている。

種別   観測時刻(時刻:日本標準時)

7回観測   3,6,9,12,15,18,21

4回観測   3,9,15,21

3回観測   9,15,21

2回観測   9,15

通報観測の観測種目・時刻・方法、単位または階級および観測の最少位数を第5表、第6表、第7表に示す。なお、第5表および第6表の※は台風臨時通報観測および自動通報観測の場合である。気象庁はWMO技術規則の要請および国内的必要性を踏まえて、各地方気象台および測候所の観測回数等を定めている。すなわち、稚内、潮岬、種子島、石垣島など約60の官署が7回観測、約20の官署が4回観測、約10の官署が3回観測を行っている。2回観測は小人数の測候所が行っているもので約40ケ所である。通報観測は全体で約130か所であり、これに次項の特別地域気象観測所を加えたものが、気候観測の全体数約155か所となる。7回観測の官署は、国際および国内的にも重要な観測拠点である。都道府県には最低1ヶ所以上の官署が配置されており、観測回数等の細目は観測業務規程に掲げられている。なお、これらの観測は通報回数が異なるだけで、観測機器、項目、内容、品質に差はない。このように通報観測を行うための観測資源(行為)の大部分が、そのまま気候観測データの資源となっており、全国の気象官署は、予報業務以外に、通報観測と気候観測の両方の役割を負っていることになる。

(特別地域気象観測所)

 地方気象台や測候所はすべて有人であるが、その他に実施官署(親官署)が管轄する標記観測所を設けている。小樽、日光、諏訪、都城など約20ヶ所である。これらの観測所は有人の官署に準じた地上気象観測を行っており、データも通報されている。有人官署との差は雲や天気など目視による項目がない点のみであり、観測データの品質については差がない。

SYNOPなど)

 通報観測の結果は、WMO技術規則に則って国際的通報のほか国内的通報が行われており、各国の気象主務機関が天気予報等に用いている。こうした通報は、通常、国際気象回線と呼ばれる専用回線を通じて行われている。通報は一定の書式(フォーマット)が決められており、それぞれ「国際気象通報式」、「国内気象通報式」と呼ばれる。国際的に通報されている気象要素等は「FM12 地上実況気象通報式(SYNOP)」、「FM13海上実況気象通報式(SHIP)」、「FM15定時航空実況気象通報式(METAR)」、「FM35 地上高層実況気象通報式(TEMP)」「FM41機上実況気象通報式(CODAR)」、「FM20レーダー気象実況通報式(RATOB)」など約50の形式が定められている。ちなみに、原子力施設事故などに伴う緊急を要する「FM22放射能資料通報式(RADREP)」もある。これらの通報式の対象はほとんどが実況データであるが、「FM71地上月気候値気象通報式(CLIMAT)」などの非即時的データも通報されている。

SYNOPは通報式番号がFM12で通報される通報式コード ネーム(code name)であり、日本名称が「地上実況気象通報式」である。SYNOPはWMOの技術規則に基づいて通報される気象実況等の一部であり、船舶が行うSHIPと並んで国際的にも最も重要な気象通報である。通報形式は通報すべき要素、その配列順序などがキチンと決められており、符号および識別語・識別数字からなる多数の群で構成されている。各通報式には、観測地点(国際地点番号)、観測日時、緯度・経度などに引き続き、各気象要素の値が5個の数字群で記述されている、一種の暗号電文である。第3図にその一部を示す。これらの数字の組み合わせにより、雲量や風向・風速、天気、気温、気圧などの実況のほか、前1時間降水量、観測時刻以前に観測された最高気温や最低気温、合計降水量、降雪量などが表現される。受信した関係国では、この電文を解読(デコード)して天気図などを作成する、第4図はその一例である。

 SYNOPなどの国際・国内的に通報されるリアルタイム観測データは、気象庁から気象業務支援センターを経由して関係者に提供されているが、原通報式は複雑であるため、気象協会等ではユーザーの希望に応じて、その中から必要な要素を抜き出すなど編集・加工を行っている。

SYNOPなどを利用する場合の注意事項)

 SYNOPなどの通報観測は、速報が本来の使命でありデータの利用は一過性的である。また、種々の原因で欠測や定刻に間に合わない遅延、さらに訂正が行われる場合がかなりある。したがって、通報観測のデータを速報的な監視に用いる場合はさほど問題は生じないが、データを確定値として契約事項等で扱う場合は十分な注意が必要である。企業等において、独力でこうした通報観測データを入手し、データベースを構築し、アップデーティングを行うことも可能であるが、民間気象プロバイダーと連携した方が無難であろうと思われる。

 

5.アメダス

 「雨」と関西弁的な「雨だす」の語感が相まって、アメダスは本来の雨を観測するシステムの愛称として親しまれている。世の中にこれにあやかったシステム名は数多いが、やはり最も有名な4文字カタカナの一つではなかろうか。アメダスは、もともと農業を主対象とした気温や降水量などの観測を人手をかけてコツコツ行っていたのを、ハイテク化したものである。きっかけは昭和40年代の後半に従来の公衆電話回線を利用したデータ通信が初めて可能になった環境であり、全自動観測・通報システムと共に、1回分の観測データすべての送信が1度数分の通話料金で済むのがミソである。

アメダスと前節の地上気象観測の相違点をあげておこう。

@       どちらも気象庁の観測であるが、アメダスのデータは国内通報のみである。

A       アメダスの観測所は無人であり、自動観測・通報である。

B       アメダスは観測要素が非常に限定されている。

C       アメダスで観測・通報されるデータは毎正時から10分ごとである。したがって、アメダスによる最高・最低気温は、あくまでこの10分刻みで見たものであり、先の地上気象観測での値とは異なる。一方、気候観測および通報観測では分単位で極値が得られる。

D       アメダスは有人の地上観測に比べて、観測所の数が極めて多い。 降水量は約1300ヶ所、風や気温などは約800ヶ所である。

E       アメダスの歴史は約25年程度と短く、まだ平年値(30年)がない。

さて、アメダスの英名はAMeDASであり、Automated Meteorological Data Acquisition System の略である。アメダスは、気象庁部内では地域観測業務と呼ばれ、その内容は地域気象観測業務規則(気象庁訓令)で以下のように規定されている。

(観測種目): 気温、風向・風速、降水量、日照時間、積雪の深さ

(気象測器): 有線ロボット気象計、有線ロボット雨量計・積雪深計、無線ロボット雨量計、地上気象観測装置または航空用地上気象観測装置

(観測時刻): 0時から10分ごと

さて、アメダスが4要素観測と呼ばれており、また日照時間があるのに気圧や湿度がないのは、上記のように農業目的に端を発していることや無人・自動観測技術のせいである。アメダスを運用するためアメダスセンターが気象庁にあり、毎正時になると各観測ポイント側から自動的にセンターに電話をかけ、自動観測値の結果を通報する。逆にアメダスセンターから任意の観測ポイントのデータを照会することも出来る。

アメダスにおける観測の単位および観測値の最少位数は、第8表の通りである。アメダス観測データは、先の通報観測データなどと同様に(財)「気象業務支援センター」経由や(財)「日本気象協会」のオンラインサービスを通じて入手することが出来る。また、過去データは、地域気象観測毎時降水量日表、同風向風速日表、同降水量月表などの原簿に記録されている。

 

6.長期予報

気象庁では、種々の天気予報を行っているが、ここでは新しい予報技術を用いて行われている「週間予報」と「1か月予報」について簡単に照会する。

最近の天気予報はすべて「数値予報」技術に基づいており、気象を支配する物理法則に則った方程式系をスパコンを用いて数値的に1歩1歩将来に向かって解き、必要な時間まで積み上げて予報としている。数値予報では初期条件が必須で、それに対応して答え(予報)が求まる。しかしながら初期条件は観測に基づいて作成されるため、必ず誤差が含まれているし、もちろん数値予報モデルも完全ではない。したがって、予報期間が長くなるにつれて誤差が増大し、予報の意味がなくなる。一方、大気の運動は初期条件が僅かに異なると全然異なった結果に至る可能性を内在している。

気象庁では、こうした初期条件の誤差の増大の様子を分析して、最も確からしい予報を得る手法であるアンサンブル予報技術を、週間予報および1か月予報に適用している。この技術は、予め実際の観測値のほかにそれと同程度の誤差を持つ初期条件を人為的に集団的に用意し、それぞれについて数値予報を行い、バラツキ具合を見るものである。第5図は1か月アンサンブル予報の場合の1例である。横軸は日付、縦軸は気温の指標であり、細い線は合計26個の予報を表している。時間が先に行くに従いバラツキが大きくなっている。太い実線は単純平均であり、最も確からしい予報と見なされる。バラツキ具合が小さいほど信頼性が高いが、もしも分布に偏りがある場合は、その予報の実現性もある。アンサンブル予報の最大の特色は、1週間や1か月先の予報をこのように確率情報としてとらえようとする手法である。アンサンブル予報は、1週間から数か月先を対象とする中長期的な期間のウエザーリスク管理を行う際に非常に有効な予測情報である。また、今のところ、過去データによっているウエザーデリバティブのプライシングにこうした予測情報を応用することも可能である。

なお、気象庁では、このアンサンブル予報技術を、週間および1か月予報の他、すでに3か月予報、暖・寒候期予報にも適用している。

 

{図説}

第1表:気候観測の種目および時刻

第2表:気候観測の観測方法

第3表:気候観測の単位又は階級及び観測値の最少位数

第4表:地上気象観測原簿

第5表:定時通報観測等の観測種目および時刻(気象官署観測業務規程より抜粋)

第6表:定時通報観測等の観測方法(気象官署観測業務規程より抜粋)

第7表:定時通報観測等の単位、最小位数など(気象官署観測業務規程より抜粋)

第1図:観測露場と観測装置の概観

2図:転倒マス型雨量計の構造

第3図:SYNOPの例(気象庁)

第4図:天気図記入例(気象庁)

第5図:アンサンブル1か月予報の例(気象庁)

戻る